最近メディアでもよく紹介される[食べチョク」の運営会社ビビッドガーデン社長の秋元里奈氏がサイトやシステムをIT技術者を雇い内製している理由として述べたものです。
大手企業でもベンダーに丸投げすることが多かった日本のシステム開発も最近ようやく内製の動きが出てきています。DXへの関心が高まるなかで海外の企業がIT技術者を大量に獲得しようとしていることも契機になっているものと思われます。
日経クロステックの2月の記事では「ITの多重下請け壊す︖ ⽇本マイクロソフトが内製化促進」という見出しでマイクロソフトがユーザー企業のAzureの利用を支援するサービスを発表したことを報じています。
このようにユーザ企業内製化の機運は高まっていますが、その実現はとてもハードルが高いのではないかと危惧されます。
その大きな理由となっているのは多重下請構造を前提とした従来の開発の進め方です。内製の主なメリットは現状をよく理解したIT技術者が素早くシステムを開発し、問題が出ればすぐに変更を加えていくことです。いわゆるアジャイル型の開発スタイルが必然になっていきます。
ところが、従来の階層型開発はその真逆のスタイルです。要求をするひと、仕様をまとめるひと、設計するひと、プログラムするひと、テストをするひと、運用をするひとなどなど、分業を前提としています。このスタイルの問題点(プロジェクトあるある)は当社サイト記事「今の仕事に満足していますか?(ソフトウェア技術者編)で詳しく紹介しています。
階層型開発の問題点はいろいろありますが、大きな問題はユーザの要求を理解しそれを自分で開発できる技術者の育成が進まないことです。当社では従来、ヒアリングから保守までひとりで担当するスタイルで受託開発をしていますが、本当の意味でそれができるようになるには、やはり10年位はかかるのではないかと感じています。
ただでさえDXが遅れている日本の企業が忍耐強く技術者を育成することができるかどうかとても心配ですね。
本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月12日に掲載した記事を再掲しています。