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アメリカで給料が増えているIT技術職

アメリカで給料の伸び率(2019年から2020年)が一番高かったIT職はサイバーセキュリティアナリストでした。コロナ禍でテレワークが増え、社内システムの堅牢性を高める必要性が増えたためだと指摘されています。

これは、11月9日のZDnetの記事が伝えたもので、引用している調査は米国のIT技術職紹介サイト Diceが行ったものです。

伸び率が高かった職種のトップテンは下図の通りです。

従来から需要が高かった職種の中でさらにコロナ禍の環境でニーズが高まったと思われる職種が並んでいます。短期的に旬な職種といえます。

年収額では、トップの1480万円のサイバーセキュリティエンジ900万円のウェブディベロッパーまで、580万円の差があります。

次に年収のトップテンを見ると下図のようになります。

トップはCIOなどIT系役員ですが、システムアーキテクトなど上位の技術職と大きな差がありません。それにしても平均で軽く1千万円を超える状況はうらやましいですね。

同調査ではこの他、地域、スキル、資格、経験年数などと給料の関係を分析しています。報告書は下記Dice社のサイトで無料で入手できます。

The Dice Tech Salary Report 2021 Edition

「These top 10 tech jobs have the fastest growing salaries」 (2021年11月9日 ZDnet記事)

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年12月27日に掲載した記事を元に加筆修正したものです。
(2022年3月16日 訂正)

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わからない技術は使わない

「プログラムはなぜ動くか」などITの啓蒙書を書いている矢沢久雄氏の言葉です。10年後も役立つ技術をテーマに日経クロステックのインタビューでの発言です。

ITの基本は実はあまりかわっておらず、新しい技術にもソフトやハードの基本的な知識があれば対応できるというのが矢沢氏の考え方で、これは全くその通りです。

自動車がエンジン(今はモーター?)があって4つのタイヤでハンドルを使って操縦するという基本構造が変わっていないように、コンピュータもCPU、主記憶、補助記憶があり、メモリーにプログラムをロードしてタスクを実行するノイマン型と呼ばれる構造は変わっていません。

同様にプログラミングもその基本的な考え方はあまり変わっていません。当社のエンジニアは必要となればまったく経験のない言語でも自分で調べて業務レベルのアプリを開発しています。聞くと言語はあまり関係ないという答えが返ってきます。

あまり考えなくてもなんとなくプログラムが書けてしまう位に開発環境は進歩していますが、その時々に使っている技術の本質を考えるようにしたほうがきっと将来につながるでしょう。

矢沢氏は同インタビューでIT人材が欲しいなら、プログラミング教育の前にまずIT技術者の地位を向上しろと指摘しています。これも全く同感ですね。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年6月23日に掲載した記事を再掲しています。
(2022年3月16日 訂正)

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内製化に舵をきる星野リゾート

ホテル業界で革新を続ける星野リゾートがシステムの内製化に大きく舵をきっています。

星野代表は従来は「餅は餅屋」ということで内製化に否定的だったようですが、システム部門の提案を受け入れた形で開発力の強化に踏み切ったとのことです。

星野代表は内製化のねらいを、1)開発スピード、2)システムの全体最適化を上げていますが、システム部門が全体最適を意識し、社内エンジニアが現場にも意見を言うようになったことに満足しているようです。

現在、約30人の情報システム部門は半数が中途採用のエンジニア、半数が現場のスタッフ上がりという構成になっていて、業務知識とシステムノウハウの相乗効果を上げているとのことです。

また外部向けシステムはコーディングで社内システムはローコードという明確な区分のもとにシステム開発を進めているのも注目すべき点です。ローコードのツールとしてはサイボーズのkintoneを使用し、専門コンサルのサービスも活用しています。

ここ数年、エンドユーザ企業のシステム部門強化や内製化は日本のDX推進のための大きな課題として関心を持たれていますが、星野リゾートのケースはその先進的な試みといえるものでしょう。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年6月2日に掲載した記事を再掲しています。

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開発プロジェクトを壊す顧客担当者 “X”

システム開発の責任を問う訴訟第2審で顧客である野村證券が逆転敗訴したと5月12日の日経クロステックの記事が伝えています。

1審判決では、開発を受託した日本IBMに契約不履行で約16億円の支払を命じたものが、2審判決では野村證券側の請求を棄却、さらに未払の業務委託料の日本IBMへの支払を命じた真逆の判決となりました。

決は要件決定後も野村側が再三の仕様追加を行い、それがプロジェクトの遅延を招いたもので、その責任は顧客側にあるとのことです。記事ではその仕様追加を主導した顧客側担当者の”X”氏の言動が問題であったと指摘しています。”X”氏は概要設計頃から仕様変更や追加を連発し、プロジェクト見直しの際の仕様削減にも強く反対したようです。

開発が始まり、システムの形が見えるようになるにつれ、仕様変更や追加を行う”X氏”は当社のプロジェクトでもたまに出会います。開発を始める前に最終的な仕様書を説明、了解をもらっているはずですが、その時には十分検討をせず、あとで気づいたり、社内の確認が遅れたというケースがほとんどです。

自分の責任を感じて謙虚に言ってくる場合は可愛げもありますが、中には言ったことを言わなかった、そういう意味ではなかったといった理由にならない理由をあげ強硬に要求を通そうとする強烈な”X氏”がまれに現れます。その場合、言うことを聞いているとプロジェクトそのものが成り立たなくなるので、失注覚悟の厳しい交渉を行わざるを得ません。辛いですね。

最近はこの種の係争で、顧客側の責任を問う判決も増えているそうで、今回の判決もまじめに開発を行っている企業には追い風となることを期待します。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月26日に掲載した記事を再掲しています。

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tech

Android開発に新言語採用

グーグルがAndoroid開発にRustを採用すると4月に発表しました。

採用の理由にはOSのカーネル開発に使われているC/C++にはメモリー管理のバグが不可避で、Rustは言語仕様上、メモリー安全が確保されていることがあげられています。さらにその背景には各国政府情報機関も含む組織による基本ソフト脆弱性の攻撃の激化が指摘されています。

グーグルはLinuxカーネルへのRust採用にも前向きのようですが、開発者であるライナスはいまのところ慎重のようです。

基本ソフトのカーネルに新しい言語が採用されるのは画期的なことでその結果がどうなるかたいへん興味深いですね。余裕のあるかたはRustをいまから勉強するのもいいかも。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月19日に掲載した記事を再掲しています。

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エンジニアの社長のほうが株価を上げる

プログラム経験のある経営者のほうが上場時の時価総額が高いという調査結果が発表されました。

ベンチャーキャピタルミレイズが過去5年にマザーズ上場した204社について調べたもので、エンジニア社長の会社(34社)が平均してそうでない会社の2.6倍の上場時時価総額を達成したと言うことです。(CNET Japan 5月14日記事「『エンジニア社長』はIPOの時価総額が平均値の2.6倍に–ミレイズが独自レポート」)

同記事ではこの理由を、「1)事業や経営にエンジニア経験が活かされている、(2)ビジネスとテクノロジーは切り離せなくなった、(3)セールスやマーケティングのスキルは習得可能である」としています。

当社でも業界でもそういうエンジニアが増えてほしいものですね。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月17日に掲載した記事を再掲しています。

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ITエンジニアに英語は必要か?

英語が苦手な方には残念ですが、結論からいうと”YES”です。

まずIT業界では英語が標準語です。マニュアルはもちろん、最新の技術情報は論文であれ、書籍であれまず英語で提供されるので、少なくとも英語の文章を読めないととても不利になります。

たとえば紀伊國屋書店のサイトで和書で「tensorflow」の本を検索すると42件、洋書では129件になり、洋書の多くは英語で書かれています。和書はアップデートされることも少ないので最新の情報を得るには英語の書籍を読まざるを得ないことが多いかと思います。

当社では一部のひとが米国オライリー社が提供している Safari Books Onlineを購読しています。同サービスはもともとIT関連電子書籍の購読サービスでしたが、現在では電子書籍に加え、ビデオトレーニング、オライリー社の各種カンファレンスへの参加ができるサブスクリプションサービスに拡張されています。

価格は年間で499米ドルと個人で払うにはちょっと考えて値段ですが、これで全ての書籍、ビデオトレーニングが受け放題となります。日本でちょっとしたトレーニングの受講料が1日3~5万円程度ですから、英語が得意なエンジニアにとってとてもお買い得のサービスといえます。

また海外のベンダーとコミュニケーションにも英語は必要です。当社もドイツで開発されているPDFlibを販売・サポートしていますので、技術的な問い合わせを行うときは英語の電子メールでやりとりをしています。

実は当社のエンジニアも英語が苦手なひとが多いので、担当するエンジニアには英語のメールの添削トレーニングを受けてもらっています。文法から表現まで個人の能力に合わせた実践的な添削指導を行ってくれるので、終了後はかなりまともな文章が書けるようになるようです。

英語の苦手なエンジニアの方はできれば若いうちに苦手感を払拭しておくことをおすすめします。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月14日に掲載した記事を再掲しています。

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IT企業に丸投げしたら、サービスに思想がこもらない

最近メディアでもよく紹介される[食べチョク」の運営会社ビビッドガーデン社長の秋元里奈氏がサイトやシステムをIT技術者を雇い内製している理由として述べたものです。

大手企業でもベンダーに丸投げすることが多かった日本のシステム開発も最近ようやく内製の動きが出てきています。DXへの関心が高まるなかで海外の企業がIT技術者を大量に獲得しようとしていることも契機になっているものと思われます。

日経クロステックの2月の記事では「ITの多重下請け壊す︖ ⽇本マイクロソフトが内製化促進」という見出しでマイクロソフトがユーザー企業のAzureの利用を支援するサービスを発表したことを報じています。

このようにユーザ企業内製化の機運は高まっていますが、その実現はとてもハードルが高いのではないかと危惧されます。

その大きな理由となっているのは多重下請構造を前提とした従来の開発の進め方です。内製の主なメリットは現状をよく理解したIT技術者が素早くシステムを開発し、問題が出ればすぐに変更を加えていくことです。いわゆるアジャイル型の開発スタイルが必然になっていきます。

ところが、従来の階層型開発はその真逆のスタイルです。要求をするひと、仕様をまとめるひと、設計するひと、プログラムするひと、テストをするひと、運用をするひとなどなど、分業を前提としています。このスタイルの問題点(プロジェクトあるある)は当社サイト記事「今の仕事に満足していますか?(ソフトウェア技術者編)で詳しく紹介しています。

階層型開発の問題点はいろいろありますが、大きな問題はユーザの要求を理解しそれを自分で開発できる技術者の育成が進まないことです。当社では従来、ヒアリングから保守までひとりで担当するスタイルで受託開発をしていますが、本当の意味でそれができるようになるには、やはり10年位はかかるのではないかと感じています。

ただでさえDXが遅れている日本の企業が忍耐強く技術者を育成することができるかどうかとても心配ですね。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月12日に掲載した記事を再掲しています。
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ココアの不思議

4月16日にコロナの接触確認アプリ「COCOA」の不具合放置に関する厚労省の内部調査が公表されました。

同日の日経新聞電子版では「多重委託、無責任の連鎖 COCOA不具合の重い教訓(有料記事)」という見出しで厳しく批判しています。

報告書を見ると、テスト環境がないのでテストしないままリリースしたなど、驚くべき実態が記述されています。問題のバグは、濃厚接触者の判定に関わる iOS とAndroidの提供APIの仕様の差を認識していなかったことによるとのことで、アプリの中心的な仕様を開発者が認識していないままコードをいじったことを示唆しています。

もともとの開発を行った「COVID-19Radar」もネット上で批判されているようですが、ボランティアで開発を行ったエンジニアに厚労省や仕事を引き継いだ事業者はもっとリスペクトを持つべきではなかったかとも感じます。

当初の契約で6社が重層的に分業し、総額3.9億円のプロジェクトになっている点も気になります。当社では他社が通常、4・5人のチームで開発するような業務アプリを通常ひとりのエンジニアがヒアリングから開発・保守まで担当するスタイルで開発しています。これで結構うまくいっています。

アプリの性格や運用形態からみて、少数の優秀なプログラマーのチームで開発する方式のほうがうまくいったような気がします。もっとも優秀なプログラマー自体が不足していますが。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年4月21日に掲載した記事を再掲しています。