前の記事では、経産省の調査によるIT技術者の収入を紹介したが、そのほかにも人材サービス会社の調査によるもの、有価証券報告書から推計した調査などがあります。
まず、まいなびの調査データをご紹介しましょう。これは2020年4月~2021年3月の1年間にマイナビ転職に掲載された求人の「モデル年収例」平均を比較したものです。下図にITに関連する職種をランキングから選択した表を示します。
引用元:まいなび転職、2021年版 職種別 モデル年収平均ランキング
一番右の欄の「全体順位」はIT関連技術者以外の全ての職種の中での順位を表します。
トップスリーはシステムアナリスト、システムコンサルタント、情報アーキテクトとなっています。トップテンまではおおむね業界でニーズが高いといわれている職種です。この中でプログラマーがゲーム系が13位、汎用機系19位、WEB系20位となっているのは寂しいですね。システムエンジニアも15位、576万円と決して高いとはいえない位置にあります。
モデル年収例は企業側ができるだけ多くの応募者を引きつけるために設定しているので、実際の金額より高くなる可能性があることに注意が必要です。
一方、Dodaでは、2019年9月~2020年8月の1年間にdodaエージェントサービスに登録した20歳から65歳までの人の平均年収データを集計したデータを紹介しています。こちらは応募者が記入したものがベースと思われますので、より現実に近いデータと考えられます。
引用元:doda ITエンジニアの平均年収はいくら? 給料アップを目指す方法や転職事例も解説
同記事では、集計結果の他、転職事例や年収アップを目指す方法も紹介しています。下図は集計結果のうち、ITエンジニアの年代別職種別平均年収を表にしたものです。平均でのトップスリーはプロジェクトマネージャ、プリセールス、ITコンサルタントとなっています。
プリセールス(営業支援)では30代以降各年代でトップとなり年代に応じた伸び率も高くなっています。直接ビジネスに貢献するプリセールスが企業の中で評価されやすいことが理由と思われます。
上場企業が発行する有価証券報告書の記述から、社員の平均給与を推定することができます。但し、対象は上場企業に限定されることに加え、職種別の推定は行うことはできないなどの制限があります。
この方法により、企業をネットベンチャー系、SIer/システム構築系などにグループ化してPublicKeyが調査しています。
引用元: ・PublicKey IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2018年版[前編] ~ ネットベンチャー、ゲーム、メディア系 ・PublicKey IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2018年版[後編] ~ パッケージソフトウェア系、SI/システム開発系、クラウド/キャリア系企業
下図は同調査結果のうち、SIer/システム開発系企業の従業員平均年収を表にしたものです。野村総研、三菱総研以下、大手のSI企業が名を連ねています。
以上、人材サービス会社の調査及び有価証券報告書による調査結果をご紹介しました。