システム開発の責任を問う訴訟第2審で顧客である野村證券が逆転敗訴したと5月12日の日経クロステックの記事が伝えています。
1審判決では、開発を受託した日本IBMに契約不履行で約16億円の支払を命じたものが、2審判決では野村證券側の請求を棄却、さらに未払の業務委託料の日本IBMへの支払を命じた真逆の判決となりました。
決は要件決定後も野村側が再三の仕様追加を行い、それがプロジェクトの遅延を招いたもので、その責任は顧客側にあるとのことです。記事ではその仕様追加を主導した顧客側担当者の”X”氏の言動が問題であったと指摘しています。”X”氏は概要設計頃から仕様変更や追加を連発し、プロジェクト見直しの際の仕様削減にも強く反対したようです。
開発が始まり、システムの形が見えるようになるにつれ、仕様変更や追加を行う”X氏”は当社のプロジェクトでもたまに出会います。開発を始める前に最終的な仕様書を説明、了解をもらっているはずですが、その時には十分検討をせず、あとで気づいたり、社内の確認が遅れたというケースがほとんどです。
自分の責任を感じて謙虚に言ってくる場合は可愛げもありますが、中には言ったことを言わなかった、そういう意味ではなかったといった理由にならない理由をあげ強硬に要求を通そうとする強烈な”X氏”がまれに現れます。その場合、言うことを聞いているとプロジェクトそのものが成り立たなくなるので、失注覚悟の厳しい交渉を行わざるを得ません。辛いですね。
最近はこの種の係争で、顧客側の責任を問う判決も増えているそうで、今回の判決もまじめに開発を行っている企業には追い風となることを期待します。
本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年5月26日に掲載した記事を再掲しています。