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私がインフォテックを選んだ理由

本稿では当社に中途入社した社員がなぜインフォテックを選んだかを聞いた結果を記事にしています。入る前にしていたこと、今、していること、入ってから気づいたことなども答えてくれています。

今、転職を考えているかたの参考になればと思い、掲載します。

元の当社サイト記事

A君の場合

キーボードにかかる手01

入社前にしていたこと

大学では情報工学を専攻し、SES業務を行う会社に就職しました。上流工程を行うグループ会社がシステムの設計を行い、その実装に必要な人員を集めてシステム開発を行っていました。

ただ後述する理由で半年しか在籍していなかったため、新人研修と受託開発の一部工程しか担当していません(おかげでこの際に応用情報技術者の資格を取得することができました)。

転職した理由

会社が業務拡大を見越して積極採用を行っていた時に折り悪く発生したリーマンショックの影響で、新卒入社から半年で人員整理されてしまいました。引き続き開発に関わる仕事がしたかったので、同業種に就職することにしました。

インフォテックを選んだ理由

IT業界のイメージとして、経験の浅いうちはプログラミング等の下流工程を担当し、経験を積むに従って上流の設計やプロジェクトのマネジメントを行うようになると認識していました(実際にはこれはSEのキャリアパスであり、業界の一部の話でしかありませんでした)。ただ私自身は設計より実装側をやりたいと思っており、以前の会社を選択したのもそのような理由でした。

インフォテックを選んだ理由も同じく、長く実装に関われると考えたためです。入社後に社内から見た仕事内容を考えても間違っていなかったように思います。またシステム開発は上流と下流がはっきり分かれているものだと思っていたため、そこをすべて一人で担当するという業務内容に興味を持ったことも理由でした。

予想と違ったこと

システム全体を一人で担当すると聞いていたので小規模なシステムを予想していましたが、顧客の会社の規模が大きく、また社内の全社員が使うようなクリティカルなシステムが多いことに驚きました。

どんな仕事をしてきて今何をしているか

入社当時から新人研修を兼ねてPDFlibというライブラリ製品のサポートや、ウェブサイトの管理等の関連業務を行っていました。幸いPDFlibの販売が順調に伸びていったこともあり、現在のメインの業務の一つになっています。

受託開発ではウェブブラウザを使用した社内向けのクライアントサーバーシステムを担当することが多いです。

その他、社内システムの管理を行っています。社内システムのメンテナンス、社内の開発サーバーの維持、テレワークのためのVPNの構築等を行いました。

スキルはどのようにして身につけたか、今後のスキルアップは?

入社後しばらくは、受託開発に必要なC、C++を座学で、およびプログラムの設計等を既存のコード資産から学習しました。その後は先輩社員の受託開発に参加する形で一連の流れを学習し、徐々に担当分野を増やす形で必要な知識を習得しました。

PDFlib製品のサポート業務では様々な環境で使用する顧客から問い合わせがあるため、最初に各種プログラミング言語(主にJava, PHP, Python, .NET)で最低限のコードが実行できるように学習しました。その後はサポート業務を通じてPDFlib各製品の知識を習得し、現在は必要に応じてPDF規格の調査、確認も行っています。

社内システムの管理では、業務に影響の出ない範囲で、トライアル&エラーで少しずつ学習していきました。

今後したいこと

セキュリティの重要性が年々高まっているため、受託開発のセキュリティを担保できるように、アドバイザー的な立ち位置になれると良いと思っています。

私が入社した頃の社内システムはオンプレミスで構築されることが多く、ネットワークで切り離されていたためあまり社外からの攻撃を意識することはありませんでした。しかしクラウドサービスの成長とともに社内システムの構成も変化しており、今後はクラウド上にシステムを構築することも多くなっていくと思います。

オンプレミスと比べると、設定ミスや設計上の問題による攻撃が成立しやすくなっていると思うので、セキュリティに精通している社員がいると、顧客に提供できる価値をより高められるのではないかと思います。

Bさんの場合

キーボードにかかる手03

入社前にしていたこと

大学で生態学を学んだ後保険関係の企業に就職しました。新人研修後、情報システム開発部署に配属されました。

転職した理由

前職では基幹システムがデータベース用開発ツール(ローコード開発ツール)で作られており、その開発を担当していました。今までやったことのない分野でしたが、システム開発がとても面白いと感じ、専念したいと思いました。

しかし、基幹システムの開発のほかに、予算管理、ヘルプデスク、他のプロジェクトなどの兼務でシステム開発に注力できず、仕事量も過多と感じていました。一番興味のあるシステム開発をもっと勉強したいという思いに、人間関係の煩わしさも加わり、転職を決めました。

システム開発に専念するのであれば、特定の開発ツール という限られたものではなく、本格的にプログラミングを習得したいと感じ、転職先は「ソフトウェア開発」をメインに探していました。

インフォテックを選んだ理由

プライベート(府中周辺が拠点)と仕事を両立したかったので、府中周辺の職場を探していました。また、大きな企業にありがちな手続きの多さや硬直した制度に抵抗もあり、また濃密すぎる人間関係を避けたい気持ちがありました。

実際の面接では、”技術”をとても大事にしているのを感じました。会社と自身のレベル差に苦労するとは思いましたが、必死についていけばスキルの習得は必ずできると確信し、インフォテックを選びました。

正直、面接時に「ここだ」と直感したのが一番大きいです。

予想と違ったこと

前職が規模の大きい企業だったせいか、システムやWebサイトのちょっとしたリリースについても、色んな部署の上職の許可(印鑑)が必要でした。

インフォテックでは、上司の了解をもらえば、すぐに仕事を進めることができ、他に必要な手続きが全くなかったので最初はかなり戸惑いました。

どんな仕事をしてきて今何をしているか

主に受託開発を担当しています。

開発については、最初はドキュメント作成、次はテスト、次は一部のコーディング、ある程度開発ができるようになってからは、顧客との打合せと、段階を踏んで、担当できる範囲を広げてきました。

現在は、規模は小さいですが、顧客のヒアリングから設計、開発、テスト、設置まで1人で対応できるようになりました。担当プロジェクトでは自社製のC++ライブラリーを使っているので、開発言語はC++となります。

スキルはどのようにして身につけたか、今後のスキルアップは?

前職でのツールによる開発の経験以外は、ITの一般的な知識はあまりなかったので、基本的なことから勉強しました。言語やネットワークなど必要な基本知識についてはEラーニングを自由に受けることができたのでこれを活用しました。

プログラミングについては、自社製のC++ライブラリーを使ったプロジェクトを担当することから、先輩技術者の指導を受けました。ストラウストラップの参考書を参照しながら各種の課題をこなしていくのですが最初は何が何だかわからず苦労しました。他の学習もしながらですが、結局、約10ヶ月にわたり指導を受けました。

この他、PHPについては個別指導のあるオンライン講習を、Webアプリケーション開発全般については電通大の主催する社会人向け講習WEBSYSを受講させてもらいました。

今はなんとか自力で開発ができるようになりましたが、今後も、引き続きWeb アプリケーションとiOS アプリの開発スキルを伸ばしていきたいです。

今後したいこと

技術者として総合的なスキルアップを目指したい。アプリのデザインやUIに関心があるので、特にデザインを重視したアプリケーションを作成したいと考えています。

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ソフト開発プロジェクトあるある

ここで紹介するのは、インフォテックのホームページの人材募集記事のひとつです。もともと人材募集のための記事で、開発プロジェクトにおいて技術者がよく遭遇する状況 (悩み) をあげ、インフォテックではこのように対応しているという、いささか、手前味噌な記事です。

ただ、内容的には一般のプロジェクトにもあてはまるケースが多く、実際にプロジェクトに関わっている現役の技術者やこれからソフトウェア技術者になることを目指しているかたにも参考になるのではないかと思います。以下にそのまま掲載します。

インフォテック人材募集のページ


どんな人でも今の仕事に多少の不満を持っているものです。それが深刻なものと感じたときにはその不満にきちんと向かい合うことが大切です。

あなたの不満が、現在の待遇にあるのか、仕事の内容や位置づけにあるのか、人間関係にあるのか、あるいは会社そのもののビジネス状況や将来性にあるのか。さらにその不満は本質的なものなのか、一時的なものなのかなどを冷静に考えてみる必要があります。

あなたが信頼できるひとに相談してみるのもよいでしょう。

悩むひと

中途半端な気持ちや一時的な不満で安易に会社を代わると、かえって事態が悪くなり、後悔することになりかねません。一般に会社を代わるのは大きなリスクです。できればいまの会社でキャリアを築いていくのがベストです。

特にあなたがまじめなエンジニアであればあるほど新しい会社のやり方と合わない場合にはさらに大きなストレスを抱え込むリスクがあります。

こんなことを言うのは、仮に当社で働くことになっても、中途半端な気持ちで決めたのでは、結局長続きはしないからです。私たちは皆さんが当社での仕事をよく見極めたうえで前向きな動機で入社していただくことを望んでいます。

以下では、IT技術者が不満を抱く典型的と思われるケースについて記述しています。さらに各ケースについてインフォテックではどのように対応しているかを説明しています。あなたが開発に真剣に取り組んでいる技術者であればきっと思い当たる点があるでしょう。

仕様が決まらない・ころころ変わる

直接交渉していても仕様の決定は常に遅れがちになります。これは「そもそも顧客が自分のやりたいことがわからない」、「顧客が仕様を理解するのに時間がかかる」、「仕様変更に伴う費用負担でもめる」といったことがよくあるからです。

立場が下請けの場合にはもっとやっかいなことになります。元請と顧客の間では下請けの知らないさまざまな事情や経緯があります。また元請の営業、SEなどの対応力が必ずしも十分であるとは限りません。

「決まった」はずの仕様があいまいだったり、技術的な不整合や無理があることもよくあります。下請けの技術者の立場で一度決まってしまった仕様を変更するのはほとんど不可能です。

立場が元請のSEの場合でも営業や上司が営業的観点などから顧客の希望を丸呑みにしたり、不利な条件を請け負ってしまうケースもあります。顧客との会議に同席していたとしても営業などへの遠慮から技術的に正しいことをなかなかストレートに言えません。良心的な技術者ほど大きなストレスを抱える原因となります。

このような状況であってもまじめな担当技術者であるあなたは与えられた条件の中で残業やときには徹夜をして納期や品質を守るよう必死の努力をすることでしょう。

最悪なのは、せっかくがんばって仕様通りのシステムに仕上げたのに、最終確認で顧客の要求と違うことが判明したり、根本的な仕様変更が行われることです。残念ながらこのようなケースは珍しくありません。

インフォテックの場合
インフォテックでは担当技術者であるあなたが顧客と打ち合わせの上、全ての仕様を決めることになります。「誰か」が決めた仕様に悩まされることはなくなりますが、これは同時に決定の最終的な責任はあなたが負うことを意味することに注意してください。

もう「誰か」のせいにすることはできません。これをやりがいがあると思うか、責任が重すぎると思うかはあなたの仕事に対する考え方によります。

システムや仕事の一部にしか関与できない

情報技術はクラウドやサービス化、アジャイル開発の方向に進展しているのにシステム開発の組織や役割分担は昔ながらの階層構造が維持されています。元請/下請けの受注構造の階層化に加え、サブシステム毎にプロジェクトマネージャー、シニアSE、SE、シニアプログラマー、プログラマーなど仕事の階層が設定されます。

階層の下にいるプログラマーは設計書やSEの指示に基づいてひたすらコーディングとテストに専念することになり、なぜそのような仕様になったのか、システムはどのように動くのかといったことが理解できないまま作業を進めることになります。

一方、階層の上にいる技術者は顧客との折衝や進捗管理などの管理業務に忙殺され、システムの細部や技術的なポイントに目が届きづらくなります

規模の大きなシステムでは開発組織も分業化や階層化されるのは自然なことですが、元請/下請けを前提とした受注構造や優秀な技術者の偏りなどの影響により 少人数でできるプロジェクトでも必要以上に仕事を細分化しメンバーを増やす傾向があります。この結果、開発費用やオーベーヘッドがふくらむとともにトラブ ルが発生するリスクが高まります。

開発の全体のプロセスに責任を持ち、経験することは、モーチベーションの維持やスキルアップに重要なことですが、実際の開発現場では、技術者は見通しの悪い分断された仕事を次から次へとこなす状況に追い込まれます。

また発注側は仕様・概要設計、受注側はプログラミングといった具合に所属する会社により技術者の役割が特定の業務に固定されてしまうことも業界としての技術者層の形成や個々の技術者の流動性やキャリア形成上障害となっています。

インフォテックの場合
インフォテックでは担当技術者がヒアリングから、見積・提案、設計、開発、テスト、設置、保守までの全ての開発プロセスを担当します。顧客との打ち合わせを踏まえてシステムの方向性や目的から個々の開発ツールまであなた自身が設定することができます。

このような仕事に積極的に取り組めば、比較的短期間で多くの実践的な知識や密度の高い経験を得ることができます。

自分の技術力が生かせない

メーカーや大手SIでは業務提携やビジネス上の事情から、たとえばデータベースはA社製、アプリケーションサーバはB社製といった具合に選択肢が事実上固定されているケースが少なくありません。

眠る女性
眠る女性とコンピュータ

このためCという製品が今回のケースでは従来扱っているDという製品より技術的、経済的観点から適切だと判断される場合でも、顧客にはDを勧めるというケースが発生します。このような状況はシステム構築のさまざまな局面で起こり得ます。

最近のソフトウェア製品の寡占化の傾向も手伝い、大手サプライヤーやSIerであればあるほど冒険を避け、定番の製品に傾き、結果として技術的選択の自由度が小さくなっているように見えます。また下請の場合は、使うべき製品は既に決定されているので、そもそもそのようなことを検討する余地もないことになります。

技術者の方はよくご存知のようにシステム構築のツールやミドルウェア選択において多くのオプションがあり、これを適切に評価、採用することによりシステム性能や開発効率を改善することができます。また少し仕様を見直すことで工数やリスクを大幅に減少することもできます。

困難な要求にさまざまな工夫を加えエレガントな方法で解決したり、新規の技術に挑戦し成功することは技術者にとって大きな喜びです。営業的な理由や政治的な理由で技術的判断の自由度が狭まったり、軽視されるのは、日ごろ研鑽を積み、常によりよいシステムを目指している技術者にとって大きなストレスとなります。

インフォテックの場合
提案における技術的な判断も担当技術者の重要な仕事です。顧客の要求とシステムの特性に合わせて最適のシステムを提案、開発するのはあなたの仕事です。インフォテックでは経済性や信頼性を担保できるのであれば技術的な可能性になんの制約もありません。

ソフトウェアが作れない

「ソフトウェアを作る人」であるプログラマーは日本の伝統的なIT業界では階層的に低い立場に置かれています。ソフトウェア技術者のキャリアにおいてもSEやコンサルタントになる、言い換えると「ソフトウェアを作らなくなる」立場になるのが最終の目標とされています。

この結果、現実にはソフトウェアをちゃんと作った経験が無いSEやコンサルタントがたくさん存在し、そのことが問題を起こすケースも少なくありません。

このような業務の進め方は、仕様がしっかりしていればプログラムは誰が作ってもちゃんと同じように作れるという前提に立っています。よい設計図があっても自動的によい建物が立つわけでないのと同じで、よい仕様があってもよいプログラムが自動的にできる訳ではありません。

(注)少し古い記事ですが、日本最大のSIerであるNTTデータの社長もインタビューでプログラミングの重要さを反省を交えて指摘しています。こんな記事もあります。

現実には不完全であいまいな仕様を元に個々のプログラマーが「解釈しながら」開発を進めることが多いのではないでしょうか。つまり実態としてシステムの質は大いにプログラマーの質に依存していることになります。

また元請/下請の受注構造がこのような分業を助長している面もあります。優秀な技術者が多くの案件をこなすために仕様決定や概要設計に専念させ、詳細設計、コーディングについては外注に任せるというのが一般的な形態になっています。

このような事情で、本来プログラムが好きな技術者がもっと自分でソフトを作りシステムの隅々まで意図通りに実装したいと思っても、その技術者が優秀であればあるほど仕様のとりまとめの仕事が増え、実際のプログラミングに従事するのが難しくなるというジレンマが発生します。

インフォテックの場合
インフォテックではコーディングもテストも基本的にあなたの仕事です。顧客が最終的に望むのは立派な仕様書でもテスト報告でもなく顧客の要求を満たしてきちんと動くソフトウェアです。インフォテックはこのことをよく理解しプログラミングを大切にしています。

お客様のメリット

インフォテックのこのような開発スタイルは顧客にとっても大きなメリットとなります。顧客は担当者であるあなたに要望を伝えればよく、プロジェクトの階層化によるオーバーヘッドや遅延、コストを負担する必要がありません。

プログラムを実装するあなたは顧客の要望を実現する上での問題や工数を正確に予測できるので、顧客に対し迅速かつ的確に回答することができます。また特定の処理系やミドルウエアに制約されることもないのでライセンス負担の少ないシンプルで効率の良いシステムの開発が実現できます。

実際、当社の開発では高価なミドルウェアや処理系を利用することは少なく、その結果、システムの軽快な動きにお客様から驚きとお褒めの言葉をしばしばいただきます。

当社の技術者にとっては当たり前に設計、開発しただけなのですが、業界では供給側の都合に基づいて充分な検討を行わないまま開発が進められるケースが多いのです。

また万が一不具合が発生したときも迅速な対応が可能です。当社の場合は、担当者が自らプログラムを修正するので、ほとんどのケースで一両日以内に問題を解決しています。大手SIerの場合は、実際にプログラムを直すのは外注先であることが普通なので、かなりの日数が必要となります。

お客様にメリットがあるということが当社にビジネス的な優位性をもたらすことになります。一般に大手企業ではコンピュータメーカーや大手SIベンダーに基幹システムの開発や運用を依頼しています。

一方で部門システムや戦略的システムなど比較的規模の小さいさまざまなシステムの開発需要があります。これらの需要のうち実はかなりの部分が当社のようなスタイルで開発可能です。

大手ベンダーは手間のかかる小規模なシステムは避けがちで、またオーバーヘッドが大きいため割高な見積を提示します。当社はメーカーや大手SIと同等以上の単価を維持していますが、効率の良い開発スタイルにより、お客様に提示する開発コストは十分な競争力を持っています。

あなたは技術的に面白い仕事を通じお客様の満足を得ることに加え質の高いビジネスに貢献することができるのです。

この点はあなたのような意欲の高い技術者に安定した職場環境を確保し、お客様に質の高いサービスを継続的に提供していく上でとても重要なことだと認識しています。

あなたの参加により当社のビジネスはさらに拡大し、強固なものになるのです。

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ITのお仕事 – その1 IT業界の変化を理解しよう –

ITに関連する仕事に就きたいと考える時、まず理解しなければならないのは、IT業界でいま進んでいる大きな変化です。IT業界の構造的な変化は、IT技術の変革にも関連しており、その変化の流れの中でIT技術者の位置づけや役割もまた大きな変化を迫られています。

従来、企業や公的組織が必要と考えた情報システムはその企画・開発を委託されたコンピュータメーカーや大手SIerやコンサルが中心になってハードウェアやソフトウェアを選定し、必要なアプリケーションソフトウェアを開発する形態がとられてきました。

その際、情報システムの開発のプロセスは、企画、設計、開発、テスト、設置、検収、稼働開始、運用・保守という一連のプロセスに沿って進められました。また情報システムを構成するハードウェアやソフトウェアは企業が所有し、ハードやソフトウェアの運用・保守も所有者たる企業が行うのが通常のかたちでした。

ところが、近年では、クラウドコンピューティングの進歩により、情報システムを個々の企業で所有、保守する技術的・経済的合理性が弱まり、企業システムのクラウドへの移行が進んでいます。

この結果、システムのハード、ソフトの販売、アプリケーションの開発・保守及びシステムの保守・運用による収入に依存してきたコンピュータメーカーなどの力は相対的に弱まり、クラウド及びクラウド上のサービスを提供するGAFAに代表されるプラットフォーマーが技術やビジネスのトレンドを主導するようになってきました。

またメールなどの共通的な業務機能はもちろん、財務や営業支援などの企業の代表的な機能についてもクラウド上のサービスとして利用されるようになり、企業は自らのビジネスの差別化につながるようなコアの機能の開発に注力するようになっています。

つまり企業システムにおいてはどの企業も使う同じような機能は、クラウド上のサービスで、競争に勝つための差別化につながる機能(コア・コンピテンシー)は自ら開発するという傾向が強まってきています。

また業務システムの開発も、企画から保守・運用までのプロセスを厳密に管理するウォーターフォールモデルではなく、システムの更新を短期のサイクルで繰り返し、ダイナミックに開発を進めるアジャイル開発が注目されるようになってきています。

さらにスマホやタブレットという新しい端末によるモバイルコンピューティングの比重が高まっています。これにより、音楽を初め、映像、ゲームなどの新しい流通チャネルが登場しました。モバイルコンピューティングは企業システムの構築やシステム開発にも新しい可能性を提供しています。

このような変革の中でIT業界の個々の仕事に要求される内容も変化しつつあります。特にユーザ企業がコンピュータメーカや大手SIerを頂点とした多重下請けを前提とした階層型の開発システムにその開発をほぼ丸投げするという日本独特の開発スタイルはまうます維持することが難しくなっていきます。

どの企業でも似たような企業の基本的な業務システムについてはクラウド上で提供されるサービスでカバーされるようになり、全体としての企業システム開発はその分、量的にも減少していくものと予想されます。

一方、企業はますます厳しくなる競争を生き抜くために、自己の競争力強化につながる独自の機能を実現するためのシステム開発を進めていく必要があります。現在、先進的な企業で進められている自社開発強化の動きはその現れです。

このようなシステムの開発に、従来の多重下請構造を前提とした開発スタイルを適用していくことは納期の面でもコストの面でも合理的ではありません。比較的少数の優秀な開発チームにより柔軟で素早い開発スタイル(アジャイル開発)が必要となります。

クラウド上のサービスを提供する側でも、魅力的なサービスを実現するために、優れた開発能力を維持することが必須となります。

このような傾向を総合すると、全体としてはソフトウェア技術者の数は大きな不足となり、当面、たとえば向こう10年と20年の単位で、不足していくことが予想されます。

また技術者以外の営業やマーケティングのお仕事もこの変革により変化していきます。簡単に言えば、「もの」から「サービス」の販売、マーケティングへの移行となるでしょう。手法としてはネットをどのように営業やマーケティングに活用していくかがキーになります。

このような変化の時期に、どのように仕事や職場を選択していくかはとても難しい問題です。そもそも変化の先を性格に見通すことは専門家でも困難です。個人差もあり、誰にでもあてはまる正解もありません。

まず現在の変化の方向を手に入る情報や信頼できるひとの意見などにより自分なりに理解することから始めましょう。次に自分のやりたいことや適正、妥協できない条件など自分にとって何が大切なのかを考えていきます。

いまいる会社でやっている自分の仕事が業界のエコシステムの中でどのような位置づけなのか、自分のやっている仕事のレベルはどこまで通用するレベルなのかなど、自分の仕事を客観的に評価することも必要でしょう。

IT技術は今後あらゆる企業や社会を支える基本技術になるので、これを利用可能にするための仕事もどんどん増えていきます。ただその内容はIT技術の普及や進歩に応じてどんどん変わっていくことが予想されます。

その意味で、技術で言えばはやりの技術を表面的に学ぶのではなくその本質を理解できる基礎的な知識や経験を積んでいくことが変化に対するリスクヘッジになると思います。技術以外の仕事についても同様のことがいえるでしょう。

本稿、及び次に続ける記事が皆さんがこれからのお仕事を考える上で少しでもお役に立てばうれしく思います。

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調査データから見るIT技術者の収入 その2

前の記事では、経産省の調査によるIT技術者の収入を紹介したが、そのほかにも人材サービス会社の調査によるもの、有価証券報告書から推計した調査などがあります。

まず、まいなびの調査データをご紹介しましょう。これは2020年4月~2021年3月の1年間にマイナビ転職に掲載された求人の「モデル年収例」平均を比較したものです。下図にITに関連する職種をランキングから選択した表を示します。

引用元:まいなび転職、2021年版 職種別 モデル年収平均ランキング

一番右の欄の「全体順位」はIT関連技術者以外の全ての職種の中での順位を表します。

IT関連技術者職種別ランキング
出典:マイナビ転職「 2021年版 職種別 モデル年収平均ランキング」
(クリックで画像拡大)

トップスリーはシステムアナリスト、システムコンサルタント、情報アーキテクトとなっています。トップテンまではおおむね業界でニーズが高いといわれている職種です。この中でプログラマーがゲーム系が13位、汎用機系19位、WEB系20位となっているのは寂しいですね。システムエンジニアも15位、576万円と決して高いとはいえない位置にあります。

モデル年収例は企業側ができるだけ多くの応募者を引きつけるために設定しているので、実際の金額より高くなる可能性があることに注意が必要です。

一方、Dodaでは、2019年9月~2020年8月の1年間にdodaエージェントサービスに登録した20歳から65歳までの人の平均年収データを集計したデータを紹介しています。こちらは応募者が記入したものがベースと思われますので、より現実に近いデータと考えられます。

引用元:doda ITエンジニアの平均年収はいくら? 給料アップを目指す方法や転職事例も解説

同記事では、集計結果の他、転職事例や年収アップを目指す方法も紹介しています。下図は集計結果のうち、ITエンジニアの年代別職種別平均年収を表にしたものです。平均でのトップスリーはプロジェクトマネージャ、プリセールス、ITコンサルタントとなっています。

プリセールス(営業支援)では30代以降各年代でトップとなり年代に応じた伸び率も高くなっています。直接ビジネスに貢献するプリセールスが企業の中で評価されやすいことが理由と思われます。

ITエンジニアの職種別年代別平均年収
出典:doda 「ITエンジニアの平均年収はいくら?」
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上場企業が発行する有価証券報告書の記述から、社員の平均給与を推定することができます。但し、対象は上場企業に限定されることに加え、職種別の推定は行うことはできないなどの制限があります。

この方法により、企業をネットベンチャー系、SIer/システム構築系などにグループ化してPublicKeyが調査しています。

引用元: 
・PublicKey IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2018年版[前編] ~ ネットベンチャー、ゲーム、メディア系
・PublicKey IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2018年版[後編] ~ パッケージソフトウェア系、SI/システム開発系、クラウド/キャリア系企業

下図は同調査結果のうち、SIer/システム開発系企業の従業員平均年収を表にしたものです。野村総研、三菱総研以下、大手のSI企業が名を連ねています。

SIer/システム開発系企業従業員平均年収
出典:PublicKey IT系上場企業の平均給与を業種別にみてみた 2018年版[後編] ~ パッケージソフトウェア系、SI/システム開発系、クラウド/キャリア系企業
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以上、人材サービス会社の調査及び有価証券報告書による調査結果をご紹介しました。

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調査データから見るIT技術者の収入

職業を考える上でもちろんやりがいや社会的意義なども大事ですが、なにはともあれ、給料に皆さんの関心はあると思います。本稿では調査データを参考にIT技術者の給料と仕事の環境の実態を考えていきます。

近年、世界的にIT技術者の不足が叫ばれ、日本では海外との報酬の差が問題になってきています。このような状況を受け、IT技術者の収入について、さまざまな調査が行われるようになりました。ここでは代表的な公的調査である「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年、経済産業省) の結果を参照していきます。

同調査は、経産省によるIT関連企業368社を対象とする企業調査および IPAによるIT関連企業勤務者5000名を対象とする個人調査の結果を分析したものです。

※「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年、経済産業省) については経済産業省のページが見当たらないため、国会図書館アーカイブWARPにあるURLを参照してください。

給与水準に加え、給与・人事評価制度、採用、残業・勉強時間、兼業などについても調査を行っています。以下、その概要をご紹介します。

給与水準

まず、給与水準の実態から見ていきましょう。

下図は職種別の年収平均とスキル標準レベルの平均を示したものです。左側の薄い青は情報サービス・ソフトウェア関連、右側の紫はインターネット関連企業の職種を表している。

同調査では管理系のプロジェクトマネージャー(以下プロマネと呼ぶ)やプロデューサーの年収より高度SEやITアーキテクトなどの専門職の年収のほうが少ないと指摘しています。管理職系はプロジェクトの損益に責任を持つ立場で、年齢も相対的に高いと思われるので一般的な専門職より給料が多いのは当然とも考えられます。

職業別の年収平均とスキル標準レベル
職種別の年収とスキル標準レベル 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年)
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またコンサルタントは全職種の中で最高になっています。全体的に見て、いわゆる業界単価に対応する給料になっているように見えます。またSE・プログラマーが一括になっていますが、SEとプログラマーの差も知りたいところです。

次に企業の給与制度が年功型か能力成果型で収入がどう違ってくるかを見てみます。

年功の影響度×年齢別の年収水準の推移
年功の影響度と年齢別年収水準の推移 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年)
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上図は自社の給与制度が年功序列の影響を受けているかどうかの回答結果に応じて、企業の給与制度を「能力・成果重視型」、「年功型」、両者の「中間型」に分け、その年収水準毎の年収を比較したものです。55歳時点の年収の差を見ると、「年功型」より「能力・成果重視型」の企業の方が最高水準と最低水準の差が大きい、つまり給与格差が大きいことが読み取れます。生涯年収についても同様の推計をしていますが、やはり「能力・成果重視型」の企業のほうが格差が大きいと推定しています。

国際的な比較はどうでしょうか。本報告書では、前年に行われた「IT人材に関する各国比較調査」の結果を参考として引用しています。

日米のIT人材の年代別の年収分布
日米のIT人材の年代別の年収分布 出典:経済産業省「IT人材に関する各国比較調査」(2016年) (クリックで画像拡大)

上図は日米のIT人材の年代別年収の分布を表示したものですが、米国では年代による差が少なく、どの年代の中でも格差が大きいのに対し、日本ではほぼ年功序列に従い、年代の中の格差も少ないのがわかります。また年収平均値においても、日本は米国に大きな差をつけられています。

同調査ではアジア諸国についても調査しています。(下図)

各国IT人材年収分布と全産業平均年収との比較
日米のIT人材の年代別の年収分布 出典:経済産業省「IT人材に関する各国比較調査」(2016年) (クリックで画像拡大)

日本・韓国のIT人材の平均年収は全産業平均の2倍程度ですが、その他の国では、4倍から10倍程度と他産業に比べて抜きんでて高くなっています。IT関連の仕事への就業意欲もインド、インドネシアを筆頭に高く、技術者が希望してIT関連業務に就業したことがわかります。

日韓中と東アジアの国で相対的に就業意欲が低いのが傾向としてあります。東アジアではIT関連の仕事のイメージがそれほどよくないということでしょうか? 特に日本で「絶対に就きたいと思っていた」がわずか7%と韓国に比べても3分の1なのは残念なことです。過去に3K業界として新卒学生に避けられたことが影響しているのかも知れません。業界としては魅力を高めるためにもっとがんばらないといけないということでしょう。

給与・人事評価制度

次に給与・人事評価制度についての調査結果を見ていきます。

給与水準に与える影響の大きさ
給与水準に与える影響の大きさ 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大

上図では、給与額に与える影響要因を企業側に聞いた結果です。一番、影響があるのはITのスキル、次にマネジメントを含むコミュニケーション能力、業務成果が続いて、これら3つの要因を企業が重視していることがわかります。残念ながら先端分野のスキルや企画力にはあまり期待していないようです。

年齢別の最高年収達成要因
年齢別の最高年収達成要因 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

上のグラフは企業に営業力、スキルなど5つの要因を挙げ、そのうち、どの要因が最高年収を与える要因になったかを年代別に聞いた結果を表したものです。若いときはスキルによる実績、年をとるにつれて、マネジメント能力による実績に比重が移る傾向がはっきりわかります。

45歳位までは、企画力や営業力の実績の比率も増えています。

業種別のITスキル評価基準
業種別のITスキル評価基準 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

では、企業はどのような基準でIT技術者のスキルを判断しているのでしょうか?上図は、スキル診断ツール、保有資格、専門の学歴のうち、どの基準を重視しているかを企業に聞いた結果を業種別に示したものです。業種によりばらつきがありますが全体として保有資格を重視する傾向にあります。

専門的な学歴については、あまり重視していないようです。これは別途聞いている企業の専門教育に関する意見の中で、専門教育が実践的でなく、業務遂行能力につながっていないという批判が多い事に関連しているように見えます。

自社給与・人事評価の印象
自社給与・人事評価の印象 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

IT技術者の側が給与や評価に関してどのように考えているかを示したのが上図です。企業側が労働時間より成果を評価していると感じ、また年功より成果を重視すべきだという意見が多いようです。また、給与に差をつけないのは良くないと考えている傾向があります。

現在の給与に対する満足度
現在の給与に対する満足度 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

現在の給与に技術者がどの程度満足しているかを示したのが上のグラフです。左の図は業種別の満足度で、システムコンサルが高く、派遣が低いほかは、ほぼ同じような傾向を示しています。

右の図は個人が自社の制度をどの程度成果型かと見ている程度を区分し、区分毎の満足度の傾向を見ています。成果型と判断しているほど、給与に対する満足度が上がっていくようです。別の調査結果では給与水準が低い技術者でもも成果型の給与制度を支持する傾向があるので、単に給与水準そのものではなく、制度の考え方も変えることが大切といえます。

年功型給与と課題
年功型給与と課題 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

上図は給与制度への年功制の影響の程度により、企業を区分し、課題に対する傾向を見たものです。給与制度への年功制の影響が強い会社では、社員の士気やスキルアップの姿勢を課題と感じる傾向が強く、年功制の影響がない会社では給与原因の離職や長時間労働が少ないと認識していることがわかります。

給与制度と転職
給与制度と転職 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

それではIT技術者は転職をどう考えているでしょうか?上図の左側のグラフは業種別の転職傾向をみたもので、システムコンサルと技術者派遣で転職意向が強い傾向があります。右側のグラフはは個人の自社給与制度の認識と転職意向の関係を示したもので、自社の制度が年功的であると考える技術者の転職意向が他に比べて高いことが読み取れます。

次に給与を成果主義にすることによる社員間の連携への影響を個人に聞いた結果が下図です。

成果評価の社員連携へ影響
成果評価の社員連携へ影響 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

左側のグラフは世代別に比較したものですが、世代間の差はあまりありません。右側のグラフは回答者個人が自社の給与制度を年功的ととらえている程度別に集計したものです。年功型と認識しているグループでは、社員間の連携への影響があると懸念する傾向が強くなっています。一方、既に成果型の給与制度を経験しているグループは影響が少ないと考える傾向があります。

採用

本調査では企業の採用動向も分析しています。以下、しばらくは採用動向に関する調査結果です。報告書では最初に前年調査結果から下図のようなIT人材の需給見通しを示しています。

IT人材の需給見通し
IT人材の需給見通し 出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(2016年) (クリックで画像拡大)

これはIT人材の需要と供給を産業人口のマクロモデルにより推計したもので、2015年で既に約17万人の不足、これが年毎に伸び、2030年には約59万人の不足になると予測しています。ただでさえ情報化が遅れている状況で、このような人材不足が発生することは日本の産業競争力の観点からも深刻な事態といえます。

下の2つの図は新卒採用状況を表したものです。上の図は業種別の状況で、全体としては約半数の企業が採用人数を確保できておらず、質においても約4割が不満足であるとしています。下の図は、企業の従業員規模別の結果です。大手になるほど有利である傾向がはっきり読み取れます。

このほか、新卒社員の初任給に能力や経験により差をつけるかという点も聞いているが、考慮していると回答した企業は13.3%と意外と少ない結果が出ています。

業種別 新卒採用の状況
業種別 新卒採用の状況 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)
企業規模別新卒採用状況
企業規模別新卒採用状況 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

中途採用についても同様の調査が行われています。下の2つの図の内、上の図は中途採用の人数や人材の質に聞いた結果を業種別にまとめたもので、システムコンサルの業種が比較的良好な結果を示しています。これは収入が高いこと、コンサルへのステップアップを目指す技術者が多いこと、そもそもコンサルタントには転職志向が強いことなどが要因としてあげられるかと思います。

下の図は同様の結果を従業規模別に集計したもので、従業員1000人以上の大企業が良い結果を得ているのが読み取れます。

業種別中途採用の状況
業種別中途採用の状況 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)
企業規模別中途採用状況
企業規模別中途採用状況 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

下図はIT技術者に転職時に重視するポイントについて聞いた結果です。左の図にある通り、1番目は給与・報酬、2番目は仕事のやりがい・面白さが強く、次にワークバランス、やりたいことができるかが続きます。

転職時に重視するポイント
転職時に重視するポイント 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

左の図は新卒時に重視したポイントで、1番目が仕事の性質、次に社風、3番目に年収となっています。経験を積んだ結果、まずはお金、次に仕事のやりがいというのはプロとしての自信の表れともとれる結果かと思います。

残業時間と勉強時間

以下に残業時間、勉強時間についての調査結果をご紹介します。

下図の左側は年代別の残業時間で、働き盛りの30代、40代がやや多く、20代、30代が少なくなっています。1週間当たりの勉強時間は忙しい?30代が少ないのに対し、50代が一番多くなっているのが興味深いですね。余裕があるのか、あるいは新しい技術を学ばないと時代に遅れるというあせりなのでしょうか?

年代別残業時間と勉強時間
年代別残業時間と勉強時間 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

下図は残業・勉強時間を従業員規模別に集計した結果です。残業時間は個人事業主が一段低く、それ以外はほぼ従業員規模が大きくなるにつれ微増する傾向にあります。勉強時間は個人事業主が多く、その他はあまり違いがありません。個人事業主は時間的余裕が多いが、その分、勉強しているといえます。

従業員規模別産業時間と勉強時間
従業員規模別産業時間と勉強時間 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

ITスキル標準のレベルと残業・勉強時間の関係を示したのが下図です。レベルが高いほど残業時間が多く、勉強時間も多いという傾向が見られます。レベル1の初心者の勉強時間はレベル2よりも多くなっています。ITスキル標準については、本サイトの記事「ITスキル標準を知っていますか?」をご覧ください。

スキル標準レベル別残業時間と勉強時間
スキル標準レベル別残業時間と勉強時間 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

下図は年収と残業・勉強時間の関係です。全体を見ると年収に応じて残業時間も勉強時間も多くなっていることがわかります。稼いでいる人はそれなりに残業もしているし、勉強もしている?

スキル標準レベル別残業時間と勉強時間
スキル標準レベル別残業時間と勉強時間 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

職種別の残業時間・勉強時間を下図に示します。プロジェクトマネージャ、プロデューサー、コンサルタントが残業が多いといえます。このうち、コンサルタントの勉強時間は職種別でトップですが、プロマネ、プロデューサーは中程度となっています。残業の多さがよく問題となるSE・プログラマーは意外と残業が少ないのですね。

職種別残業時間と勉強時間
職種別残業時間と勉強時間 出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

兼業・副業

最後に兼業に対する企業の考え方を見ていきましょう。下図は企業が兼業・副業を認めているかを、業種別(左図)、従業員規模別(右図)に示したものです。全体では約15%の企業が兼業を認めています。業種別ではシステムコンサルとWeb関連がそれぞれ30%、39%と割合が多くなっています。

兼業・副業の認可の状況
兼業・副業の認可の状況出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年) (クリックで画像拡大)

兼業を認めない理由としては、「自社業務に差し支える」が最も多く、次いで「適切な就業管理ができない」となっています。

まとめ

以上、「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」を元にIT技術者の報酬と関連する事項を見てきました。人事制度について個人、企業とも成果主義をめざす方向ははっきりとしていますが、一部の例外を除いて、実際の給与は日本企業全体の年功的な人事制度の枠の制限の中にとどまる傾向があります。この結果、日本のIT技術者の報酬は国際的にも依然低い水準にとどまっています。

ただし、当社の採用活動を通じても、ここ2-3年で急速にIT技術者、特に若手の給料が上昇していることを実感します。これは継続する深刻なIT技術者採用難により、IT関連企業が危機感を高めていることを反映しているように思われます。また最近のソフト内製化の傾向によりユーザ企業がIT技術者の採用を進めていることも採用難に拍車をかけ、報酬アップの圧力になっているのでしょう。

本記事が皆さんがキャリアを考える上での参考になればうれしく思います。

【インフォテックの人材募集】次世代のインフォテックで活躍する仲間を探しています

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アメリカで給料が増えているIT技術職

アメリカで給料の伸び率(2019年から2020年)が一番高かったIT職はサイバーセキュリティアナリストでした。コロナ禍でテレワークが増え、社内システムの堅牢性を高める必要性が増えたためだと指摘されています。

これは、11月9日のZDnetの記事が伝えたもので、引用している調査は米国のIT技術職紹介サイト Diceが行ったものです。

伸び率が高かった職種のトップテンは下図の通りです。

従来から需要が高かった職種の中でさらにコロナ禍の環境でニーズが高まったと思われる職種が並んでいます。短期的に旬な職種といえます。

年収額では、トップの1480万円のサイバーセキュリティエンジ900万円のウェブディベロッパーまで、580万円の差があります。

次に年収のトップテンを見ると下図のようになります。

トップはCIOなどIT系役員ですが、システムアーキテクトなど上位の技術職と大きな差がありません。それにしても平均で軽く1千万円を超える状況はうらやましいですね。

同調査ではこの他、地域、スキル、資格、経験年数などと給料の関係を分析しています。報告書は下記Dice社のサイトで無料で入手できます。

The Dice Tech Salary Report 2021 Edition

「These top 10 tech jobs have the fastest growing salaries」 (2021年11月9日 ZDnet記事)

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年12月27日に掲載した記事を元に加筆修正したものです。
(2022年3月16日 訂正)

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アメリカのプロフェッショナルは在宅勤務がお好き

ハーバードビジネススクールの1500人のプロフェッショナルを対象にした調査によると、81%のひとがフルタイムに戻りたくないと答えたそうです。(CNET Japan 記事)

当社も昨年から全面的にリモートワークに移行して出社は最小限に抑えています。社長の号令でいっきに始めたのですが、いまのところ受託開発も含め大きな問題は出ていないようです。

個人的にはリモートワークのメリットとして明確なのは、通勤時間に加え、通勤前後の時間も不要となるので、プライベートの時間は確実に増えるところかなと思います。デメリットは同僚の顔を直接見れないことですね。

コロナが落ち着いた後も、リモートワークも併用する業務スタイルになるのではと期待しています。

本項は Facebook インフォテック公式ページ に2021年4月21日に掲載した記事を再掲しています。